YOUNG G / Pan Asia Vol.2 ~Black Asia ~ [MIX CD]
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YOUNG G / Pan Asia Vol.2 ~Black Asia ~ [MIX CD]

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東南アジア最大のスラム、トンド地区でお互いのスニーカーの話で盛り上がっていた時にフィリピンのラッパーがこう言って笑ったという。「おまえの履いてるアディダスも、俺の履いてるアディダスも、本物か偽物かよくわかんねえけど、、、アディダスなんだよ。違うか?」。『BLACK ASIA』、これはそういうCDなのである。(空族 相澤虎之助) アジアで独自の進化を遂げるヒップホップをテーマにしたYOUNG Gによるミックvol.2!Stillichimiyaによるエクスクルーシブも収録!2/22発売。  このMIXを聴いた途端に、作家である宮崎学がアジアのアウトロー達の生き様と歴史を軸に描いた「血族」という小説を思い出した。その「血族」の解説文に寄せた馳星周の文章がキマっていて、その中に豊浦志朗「叛アメリカ史」からの引用がある。“叛史の戦場は正史が腕ずくペテンずくで設置した隔離収容区域である。そこは潜在的敵対者の隔離という政治的要請と賃金奴隷の創出という経済的要請に基づいて創られたものだ。叛史はここから進発して正史の神殿を爆破しようと奮戦する。” カンタンに言うと、お偉いさんたちが勝手に歴史や価値を創って美味しいところだけもらっちゃおうという世界が“正史”で、そんな世界に我慢できないヤツらが生きる世界が“叛史”ということである。  1977年にアメリカのブラック•パワーやチカーノ、ヴェトナム難民の歴史を世界の正史に対する叛史と捉えた「叛アメリカ史」の視点が、アジアの血脈にも連綿と繋がっていることが「血族」を読むとわかるのだが、『BLACK ASIA』は2015年の現在、明らかにそこに繋がっている。このMIXでは中国、台湾、ヴェトナム、韓国、タイ、インド、モンゴル、トルコなどアジア各国のアンダーグラウンドだったり、そこそこイケてて有名だったりする有象無象のHIP-HOPが登場するのだが、例えばHIP-HOPはもともとアメリカの文化でその真似ごとが云々〜といった、いわゆる“何が本物”的な問いそのものが、実はこの隔離区(叛史の戦場)では溶解し、意味を成さないものとなる。実際このアルバムを聴き込んでいくとなんだかよくわからないけれども持っていかれてしまい、笑わされ、最後には涙がこぼれてしまうだろう。その旅はあの街角の地べたを這うような私たちがよく知っているHIP-HOPの道である(旅の最終点は….沖縄!)。そしてそれは隔離区から生まれた音楽〜叛史の道でもあるはずだ。  そういえばYoung-Gがフィリピンで出会ったラッパーのある一言に衝撃を受けたと語ってくれた事も思い出した。東南アジア最大のスラム、トンド地区でお互いのスニーカーの話で盛り上がっていた時にフィリピンのラッパーがこう言って笑ったという。「おまえの履いてるアディダスも、俺の履いてるアディダスも、本物か偽物かよくわかんねえけど、、、アディダスなんだよ。違うか?」 『BLACK ASIA』、これはそういうCDなのである。 (空族 相澤虎之助)